ずっと前のことになるが、オーストリアの国鉄ÖBB の列車、リンツからウィーンまでの列車の座席をオンラインで予約した。
リンツからウィーンまでは2時間ほど掛かる。突っ立ったまま旅行時間を過ごすのもしんどいと思ったから、座席に腰かけてラクチンな旅行時間を過ごせるように自分のために手筈を取った。
当該の列車はザルツブルクが始発だったのだろうか、それとも国際列車ということで例えばドイツはミュンヘンが始発だったのだろうか、終点のウィーンまでの、そしてわたしにとってはリンツからウィーンまでの行程であったが、予定時間通りに乗車した。
超満員だった。真ん中の通路を挟んで両側の座席はもちろん全部乗客によって占められていただけでなく、この左右の座席を
いわば分けている通路も立客で埋まっていた。
予約した指定席はどこだろうと満杯の列車の中でちょっと不安な気持ちに襲われそうになった。
まずはこの通路を埋めてしまっている、通せん坊をしている立乗客を何とかしないといけない。身動きができない状態であったが、そんな乗客たちの間へと自分の身を押し通すかのようにして、人々の隙間を狙っては少しずつ予約済みの指定席を目指す。厄介な思いをしながらも一人除け、二人除けながら通路に立ち止まっったままの乗客の集合体へと自分の道を切り開こうとしていた。
予想はしていた。この満杯状態の列車の中、空席は一つも見出せない。全座席は乗客たちに占拠されていることが見て取れる。座席に座れない人たちは立ちんぼにならざるを得ない。列車と列車の連結部も溢れた乗客に乗っ取られていた。
やっと自分の指定席の所まで辿りついた。私の指定席は私が腰かけることになっているのだから空席になっている筈だ、と思っていたが、そんなことはない。塞がっていた。これはどういうことなのか。誰も腰かけていないから、じゃあ自分が腰かけようということでその乗客は何の断りもなくその座席に腰を下ろしたに違いない。超満員列車の中、空いている席が一つでもあれば腰かけてしまう、当然と言えば当然だろう。
私はその乗客に伝えた。その席は私が予約した座席だ、と。乗客は黙って立ち上がり席を離れた。
私はようやくにして満杯の列車の中、予約していた自分の席に腰かけた。
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